Xで流れてきた論文の要約を読んで、ちょっと手が止まりました。
「子どもの学力格差って、結局おうちの経済力で決まっちゃうんでしょ?」
そう思う方も、いるんじゃないでしょうか。
でもその論文、結論はちょっと違ったんです。
今日はその研究をざっくり紹介しつつ、「じゃあ家で何ができるの?」ってところまで書いていきます📚
そもそも、どんな研究なの?
紹介するのはこちらの論文です。
ざっくり言うとこんな調査です👇
「経済格差が、幼児の語彙力や読み書き能力にどう影響するのか」。そして「それが将来の学力格差にどうつながるのか」を調べた研究です。
結果:効いていたのは「しつけのスタイル」だった
5歳の「読み書き」に、所得の差はなかった
まずここが意外でした。
5歳時点の読み書き能力(リテラシー)には、所得による差が見られなかったんです。
ただし——
でも「語彙力」には差が出ていた
学力の土台になる語彙力(ごいりょく)のほうには、経済格差の影響がはっきり出ていたそうです。
読み書きには差がないのに、語彙には差がつく。ここ、けっこう大事なポイントだと思っていて。
なぜかというと、語彙力は小学校以降の国語の学力ともつながっているから。目に見えにくいところで差がついていく、ということですよね。
経済格差を上回っていたのが「しつけのスタイル」
で、ここからが本題です。
論文では、親のしつけスタイルが経済格差を上回る要因として示されました。
子どもと体験を共有して、対話を大切にする関わり方
→ 所得に関係なく、語彙得点・国語学力ともに高い傾向
大人が一方的に指示し、従わせようとする関わり方
→ たとえ高所得層でも、語彙発達にマイナスの影響
お金があるかどうかより、親子のコミュニケーションの質のほうが、能力形成に直結していた、と。
ちなみに内田先生は、大事な声かけを3H(ほめる・はげます・視野をひろげる)という言葉でまとめています。覚えやすくて、これはいいなと思いました。
「視野をひろげる」ってどういうこと?
3Hのなかで、いちばんピンとこないのが「ひろげる」だと思うんです。私もそうでした。ざっくり言うと、こういうことみたいです👇
よその子とじゃなく、ちょっと前のその子と比べてほめる
「昨日より上手にお片づけできたね」
ちょっとだけ上の小さな目標に、肯定的な言葉を
「もうちょっと頑張ったら、できそうだね」
答えを教えるんじゃなく、別の視点をそっと渡す
「○○でやったら、どうかな?」
つまり「ひろげる」は、正解を渡すんじゃなくてヒントを渡すってことなんですよね。
ポイントは、子ども自身が考える余地を残すこと。ぜんぶ説明しちゃうと、考えるチャンスがなくなっちゃう。
ちなみにこの3H、小学館の幼児教室ドラキッズでも指導方法として使われているそうです。
園は「種類」より「中身」だった
もうひとつ面白かったのがここ。
「早めに勉強させなきゃ」って焦る気持ち、あります。でもこの結果を見ると、先取りより”自分で考えて遊ぶ経験”なんだなと思いました。
じゃあ、家で何ができる?
論文の結論は、こうまとめられています。
つまり、家でできることはこのあたり👇
※うちはまだ1歳1ヶ月なので会話にはならないんですけどね😅 先の話として覚えておきたいなと。
読み聞かせつながりだと、図書館で紙芝居を借りてみた話も書いてます。「自由に遊ばせる」のほうは、おうち遊び「宝探し」がうちの定番です🎁
海外の研究でも、似た話がありました
親が子どもの将来に高い期待を持ち、それを子どもと共有していることが、宿題の手伝いや学校行事への参加といった他のどの関わりよりも学力と強く相関していたと報告されています。
ちょっと長いので、かみくだきます。
・宿題を見てあげる → もちろん大事
・でもそれ以上に効いていたのは → 「あなたなら大丈夫」と信じて、言葉で伝えること
・親の”期待”は、心の中で思ってるだけじゃなく子どもに伝わってはじめて効く
要は、やってあげることより、信じて伝えること。さっきの「共有型しつけ」の話とも、きれいにつながる気がします。
ただし、鵜呑みにはしないでおく
ここは正直に書いておきます。
Xでこの論文が話題になったとき、こんな指摘もありました。
これ、もっともだなと思います。
幼児期の時点では経済格差の影響が限定的だったのは事実。でも、それがそのまま「一生お金は関係ない」にはならないですよね。
研究結果は万能のお守りじゃないので、ひとつのヒントとして受け取るくらいがちょうどいいかなと思っています。
まとめ
【参考】内田伸子(2017)「学力格差は幼児期から始まるか?——経済格差を超える要因の検討——」『教育社会学研究』第100集, pp.108-119/J-STAGE Wilder, S.(2014)”Effects of parental involvement on academic achievement: A meta-synthesis”, Educational Review.
