学力格差は幼児期から始まる?大事だったのは「親子の関わり方」でした

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Xで流れてきた論文の要約を読んで、ちょっと手が止まりました。

「子どもの学力格差って、結局おうちの経済力で決まっちゃうんでしょ?」

そう思う方も、いるんじゃないでしょうか。

でもその論文、結論はちょっと違ったんです。

今日はその研究をざっくり紹介しつつ、「じゃあ家で何ができるの?」ってところまで書いていきます📚

そもそも、どんな研究なの?

紹介するのはこちらの論文です。

📕 内田伸子(2017)「学力格差は幼児期から始まるか?——経済格差を超える要因の検討——」『教育社会学研究』第100集, pp.108-119

ざっくり言うとこんな調査です👇

🌏 日本(東京)・韓国(ソウル)・中国(上海)・ベトナム(ハノイ)・モンゴル(ウランバートル)の5都市
👶 各国およそ3,000名の3・4・5歳児が対象
🎤 子どもへの個別面接調査+保護者・保育者へのアンケート
📊 小学1年生まで追跡して、PISA型学力テストとの関係を分析

「経済格差が、幼児の語彙力や読み書き能力にどう影響するのか」。そして「それが将来の学力格差にどうつながるのか」を調べた研究です。

💡

今回の論文では、そのうち東京・ソウル・上海の結果が中心にまとめられています。10年がかりの、けっこう大規模な調査なんです。

結果:効いていたのは「しつけのスタイル」だった

5歳の「読み書き」に、所得の差はなかった

まずここが意外でした。

5歳時点の読み書き能力(リテラシー)には、所得による差が見られなかったんです。

ただし——

でも「語彙力」には差が出ていた

学力の土台になる語彙力(ごいりょく)のほうには、経済格差の影響がはっきり出ていたそうです。

読み書きには差がないのに、語彙には差がつく。ここ、けっこう大事なポイントだと思っていて。

なぜかというと、語彙力は小学校以降の国語の学力ともつながっているから。目に見えにくいところで差がついていく、ということですよね。

💬

言葉の理解って、しゃべり出すよりずっと先に育ってるみたいです。うちの場合は「帽子どこ?」で帽子を持ってくるようになった話にまとめてます。ちなみに初語は「いないいないばあ」でした😊

経済格差を上回っていたのが「しつけのスタイル」

で、ここからが本題です。

論文では、親のしつけスタイルが経済格差を上回る要因として示されました。

🟦 共有型しつけ
子どもと体験を共有して、対話を大切にする関わり方
所得に関係なく、語彙得点・国語学力ともに高い傾向
🟥 強制型しつけ
大人が一方的に指示し、従わせようとする関わり方
たとえ高所得層でも、語彙発達にマイナスの影響

お金があるかどうかより、親子のコミュニケーションの質のほうが、能力形成に直結していた、と。

ちなみに内田先生は、大事な声かけを3H(ほめる・はげます・視野をひろげる)という言葉でまとめています。覚えやすくて、これはいいなと思いました。

「視野をひろげる」ってどういうこと?

3Hのなかで、いちばんピンとこないのが「ひろげる」だと思うんです。私もそうでした。ざっくり言うと、こういうことみたいです👇

🌟 ほめる
よその子とじゃなく、ちょっと前のその子と比べてほめる
「昨日より上手にお片づけできたね」
💪 はげます
ちょっとだけ上の小さな目標に、肯定的な言葉を
「もうちょっと頑張ったら、できそうだね」
🔭 (視野を)ひろげる
答えを教えるんじゃなく、別の視点をそっと渡す
「○○でやったら、どうかな?」

つまり「ひろげる」は、正解を渡すんじゃなくてヒントを渡すってことなんですよね。

ポイントは、子ども自身が考える余地を残すこと。ぜんぶ説明しちゃうと、考えるチャンスがなくなっちゃう。

💡

内田先生は共有型しつけを、「頭はいつも先回り・援助は後からついていけ」と表現しています。先に手を出さない。でも、困ったときにすぐ動けるように準備はしておく。
ちなみにこの3H、小学館の幼児教室ドラキッズでも指導方法として使われているそうです。
💬

うちはまだ1歳1ヶ月なので、「ひろげる」はもう少し先の話。でも「ほめる」だけなら今日からできるなと思って、最近ちょっと意識してます😊

園は「種類」より「中身」だった

もうひとつ面白かったのがここ。

🏫 幼稚園か保育所か、という園の種類による語彙力の差はなかった
🧸 教育内容を先取りする「一斉保育」の園より、子どもの自発的な遊びを尊重する「自由保育」の園の子のほうが語彙得点が高かった

「早めに勉強させなきゃ」って焦る気持ち、あります。でもこの結果を見ると、先取りより”自分で考えて遊ぶ経験”なんだなと思いました。

じゃあ、家で何ができる?

論文の結論は、こうまとめられています。

💡

学力格差の本当の原因は経済格差そのものではなく、大人の養育や保育のあり方がその格差を媒介している。読み聞かせや家族の団欒を通じて子どもの主体性を尊重する関わりこそが、経済的なハンデを乗り越えて「能動的な学び手」を育てる鍵になる。

つまり、家でできることはこのあたり👇

🗣 親子の会話を増やす(指示じゃなく、やりとり)
📖 読み聞かせをする
🧩 自由に遊ばせる(口を出しすぎない)
🌱 実体験をたくさんさせる
✋ 子どもの「やりたい」を先に立てる

特別な教材も、高い習い事もいらない。「今日ね、〇〇したの」に「へえ、それでどうしたの?」って返す。たぶんそういう積み重ねなんだと思います。
※うちはまだ1歳1ヶ月なので会話にはならないんですけどね😅 先の話として覚えておきたいなと。

読み聞かせつながりだと、図書館で紙芝居を借りてみた話も書いてます。「自由に遊ばせる」のほうは、おうち遊び「宝探し」がうちの定番です🎁

海外の研究でも、似た話がありました

💡

Wilder, S.(2014)が複数の研究をまとめたメタ分析では、
親が子どもの将来に高い期待を持ち、それを子どもと共有していることが、宿題の手伝いや学校行事への参加といった他のどの関わりよりも学力と強く相関していたと報告されています。

ちょっと長いので、かみくだきます。

つまり、こういうこと
・宿題を見てあげる → もちろん大事
・でもそれ以上に効いていたのは → 「あなたなら大丈夫」と信じて、言葉で伝えること
・親の”期待”は、心の中で思ってるだけじゃなく子どもに伝わってはじめて効く

要は、やってあげることより、信じて伝えること。さっきの「共有型しつけ」の話とも、きれいにつながる気がします。

ただし、鵜呑みにはしないでおく

ここは正直に書いておきます。

Xでこの論文が話題になったとき、こんな指摘もありました。

💬

調査結果はほとんどが3〜5歳のデータ。経済力の寄与が大きくなるのはそれ以降の年齢のはず。そのあたりのデータがないので「経済格差は超えられる!」と結論づけるのは飛躍を感じる

これ、もっともだなと思います。

幼児期の時点では経済格差の影響が限定的だったのは事実。でも、それがそのまま「一生お金は関係ない」にはならないですよね。

研究結果は万能のお守りじゃないので、ひとつのヒントとして受け取るくらいがちょうどいいかなと思っています。

まとめ

📌 この記事のまとめ
✅ 5カ国の大都市で3〜5歳児を各国約3,000名、小1まで追跡した大規模調査
✅ 5歳時点の読み書きに所得差はなかったが、語彙力には経済格差の影響が出ていた
✅ 経済格差を上回る要因は「親のしつけスタイル」だった
✅ 対話を大切にする「共有型」は所得に関係なく語彙・国語学力が高い傾向
✅ 一方的な「強制型」は高所得層でも語彙発達にマイナス
✅ 園は種類より中身。先取りの一斉保育より自由保育の子のほうが語彙得点が高い
✅ 海外のメタ分析でも「親が期待を子どもと共有すること」が学力と強く相関
✅ ただし対象は3〜5歳。「経済格差は完全に超えられる」とまでは言い切れない
🎀

高い教材を買うより、今日ちゃんと目を見て話す。それが一番効くらしい、という研究でした。しんどい日はできなくていいと思います。できる日に、できる分だけで📚

【参考】内田伸子(2017)「学力格差は幼児期から始まるか?——経済格差を超える要因の検討——」『教育社会学研究』第100集, pp.108-119/J-STAGE Wilder, S.(2014)”Effects of parental involvement on academic achievement: A meta-synthesis”, Educational Review.

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