へその緒はいつ切るべき?“遅らせる出産”のメリット・デメリットと日本の最新事情

1. はじめに

出産のとき、「へその緒をいつ切るか」について考えたことはありますか?

最近、「へその緒を30~60秒遅らせて切ると赤ちゃんに良い効果がある」と注目されています。でも、それって本当に正しいの? 赤ちゃんにリスクはないの? 日本でも実施されているの?

そんな疑問に答えるべく、今回は国内外のガイドラインや医学的な根拠をもとに、「遅延臍帯結紮(ちえんさいたいけっさつ)」について分かりやすく解説します。


2. へその緒を遅らせて切ると、どんなメリットがあるの?

💡 遅らせることで得られる3つのメリット

  • 血液量が増える(最大で20〜30%増加することがある)
     胎盤から赤ちゃんに血液が追加で送られ、全身の循環をしっかり支える。
  • 赤血球数やヘモグロビン値が増加しやすい
     酸素を運ぶ力がアップし、貧血予防につながる。
  • 鉄分の貯金ができる
     生後3〜6か月の鉄分不足を防ぎ、発育や脳の発達にも良い影響があると報告されています。

3. 具体的に「どのくらい待てばいい」の?

  • 健康な赤ちゃんであれば、30〜60秒の遅延が国際的に推奨されています。
  • **アメリカ産婦人科学会(ACOG)**も、2017年にこの時間をガイドラインで明記。
  • 30〜60秒以上の遅延が推奨されているが、施設や赤ちゃんの状態によって対応が異なる。

4. リスクは本当にないの?

  • 母体への影響:出血リスクが増えるという明確な証拠はなし。
  • 赤ちゃんへの影響黄疸のリスクがやや上がる可能性あり。ただし、これは光線療法などで管理可能ですが、まれに治療が必要になることもあるため、医師と相談しましょう

5. 日本人の赤ちゃんにとっても効果あるの?

🇯🇵 日本国内の状況

  • 日本産科婦人科学会や日本新生児成育医学会なども、**「赤ちゃんとお母さんが元気なら30秒以上の遅延を考慮してもよい」**としています。
  • ただし、全施設で統一されているわけではなく、医師や病院の方針によって実施状況はさまざまです。

🧬 日本人ならではのポイント

ポイント内容
✅ 利点アメリカと同様に、鉄分の蓄積や貧血予防が期待できる。
⚠️ 注意点黄疸リスクにはやや注意。日本人は黄疸(ビリルビン値)が高くなりやすい傾向があると指摘されているため、個別判断が大切。
🏥 現場の対応病院によって対応が異なるため、バースプランで希望を相談してみましょう。

6. 参考にした専門情報はこちら

7. 「へその緒」情報のウソ・ホントに注意!

ネットやSNSでは、「遅延は危険」「母親の血がなくなる」といった誤解もあります。
**実際には、エビデンスに基づいた研究と、国際的なガイドラインに基づいた医療行為です。**心配な場合は、担当医や助産師に相談しながら、あなたと赤ちゃんに合った方法を選ぶのがベストです。

📚 参考リンク


🕊 おわりに

「へその緒をいつ切るか」というテーマは、出産が近づくまで意識することの少ない項目かもしれません。
しかし近年では、切るタイミングによって赤ちゃんへの影響がある可能性が示されており、国内外でさまざまな研究やガイドラインが発表されています。

医療現場や赤ちゃんの状態によって対応は異なり、一律に「こうすべき」と言えるものではありません。
それでも、「こういった選択肢や考え方がある」ということを知っておくことで、自分なりの納得のいく出産につながるかもしれません。

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